幼い頃、祖母に手を繋がれて通った中島廉売。『今晩のおかずは何にしようか』と祖母は私に尋ねる。食べ物を知らない私は『ホットケーキ・スパゲッティ』と言っては祖母をよく笑わせた。幼い私が興味を持つのは、いつでも果物だった。大きな粒のイチゴや林檎にメロン。市場に行く度、たくさんの果物を買ってもらった。そんな今は亡き祖母とのエピソードを思いながらシャッターを切る。無くなってほしくない函館の台所の一つである。