子供の頃からずっと故郷である函館が好きではなかった。
田舎臭い、ダサい、自由がない、とにかく嫌だった反面、どこかへ出たいと思う憧れを募らせ、高校卒業と同時に故郷を飛び出した。
しかし帰省の度に、過疎・衰退化が進む故郷に寂しさを感じるようになっていく。
何とかしたいとは思っているものの、どうすれば良いのかもわからず、また自分だけの日常の生活に流されていった。
そんなある去年の秋、その思いを人に伝える機会があり、たった一人で抱えていた自分の思いが、二人になり十人になり思いが繋がることを知った。
函館と言えば食の宝庫であり、
素晴らしい生産者や食材のことを伝えることで、街の地域創生となるのではないだろうか。
私にできることは、写真を撮って函館の魅力を色々な人に知ってもらうことだと確信した。
大人になってやっとわかった故郷の価値。
故郷を思う気持ちは、人の数だけ様々ある。
地方都市は窮状が深刻化し、私の故郷の函館も例外ではない。
少しでも住みやすく、戻ってきたい故郷であってほしい。
昔は良かったねという言葉だけではなく、これからも良い街だねと言えたり言われる街にしたい。
私の知らない土地でも誰かが、思いを紡いで
大切なものを守ろうとしている。
©︎2021Mai Ito
